合同会社 CitrusApp(シトラス・アップ)は、飲食店を運営される企業様向けに、食材の仕入れからメニューの原価率まで一元管理できるSaaS**「RecipeCost(レシピコスト)」**を開発いたしました。
株式会社MCO Lotus 代表取締役で中小企業診断士の関野 佑也様の監修の元、長年 Excel で属人的に運用されてきた原価管理の計算ロジックをWebアプリ化し効率化した事例です。
「食材の値段が変わるたびにExcelの原価表を手作業で更新していた」「原価率の悪いメニューが分からないまま放置されていた」——そんな現場の声を出発点に、食材マスタ → 仕込みレシピ → メニューレシピ → 原価分析までを一本の線でつなぎ、リアルタイムに原価率を可視化する専用SaaSとして開発した事例です。
▲ メニューレシピ:カテゴリ別の原価率・売価・粗利をカード表示で一望
RecipeCost とは?
食材の「単価」からメニューの「利益」まで、ひと目で分かる原価管理ツール
飲食店の利益を左右するのは、売上だけではありません。食材の仕入単価がいくらで、メニュー1皿あたりの原価がいくらで、売価に対して何%か——この「原価率」を日常的に把握し、コントロールすることが、粗利改善の第一歩です。
しかし多くの現場では、原価計算がExcelや紙の台帳に依存し、食材価格が変わっても反映が遅れたり、仕込みを経由するメニューの原価が正確に追えなかったりと、「なんとなくの感覚管理」になりがちです。
RecipeCostは、食材を登録し、レシピに紐付け、売価を入れるだけで原価率と粗利が自動算出されるシンプルな仕組みで、この課題を解決します。
特徴
- 食材マスタ — 仕入単価・規格・単位を登録すると、g単価(1gあたりの原価)を自動計算。業者別のフィルタリングやCSVインポート/エクスポートにも対応
- 仕込みレシピ — ソース・タレ・仕込み品の原価をg単価で算出。メニューレシピの材料として参照可能
- メニューレシピ — 食材と仕込みを組み合わせ、原価・売価・原価率・粗利をリアルタイム表示。カテゴリ別の平均原価率も一目で分かる
- 原価分析 — 月次の売上・仕入・在庫から原価率を算出し、推移グラフで可視化
- 棚卸管理 — 月次の在庫量を記録し、原価分析の期首/期末在庫と自動連携
- マルチテナント対応 — 企業 → 店舗 → ユーザーの階層で、複数店舗・複数企業を安全に分離
- 権限管理(5段階) — 管理者(運営)/企業の責任者/エリアマネージャー(SV)/店長/スタッフで、見える情報を制御。スタッフには原価情報を非表示にできる
- メール招待 — 招待リンクをメールで自動送信。受け取った側はリンクからアカウント作成するだけ
- レスポンシブ対応 — PC・タブレット・スマートフォンに最適化。店舗のスマホからでもサッと確認・入力できる
主な機能
食材マスタ・仕込みレシピ(現場向け)
- 食材の仕入単価・規格・単位を登録し、単位原価(g単価)を自動算出
- 業者マスタと連携し、仕入先ごとの食材を管理
- 仕込みレシピで、複数食材を合わせた仕込み品のg単価を計算
- CSVインポートで既存の食材データを一括登録、エクスポートでExcel連携
- 納品書OCRスキャン機能で、写真から食材情報を自動読取し一括登録
▲ 食材マスタ:業者別フィルタで仕入単価・g単価を一覧管理
メニューレシピ・原価分析(経営者向け)
- メニューレシピに食材・仕込みを紐付け、原価・原価率・粗利を自動計算
- カテゴリ別の平均原価率を表示し、「メインは28.9%、前菜は34.3%」と一目で把握
- 月次の原価分析で、売上原価・原価率・粗利を算出。推移グラフで傾向を可視化
- 棚卸データと連携し、期首/期末在庫を自動セット
- ダッシュボードで、登録食材数・メニュー数・平均原価率・今月の売上をサマリー表示
▲ 原価分析:月次の売上原価・原価率を自動算出し、推移グラフで可視化
マルチ店舗・権限管理(管理者向け)
- 1つの企業アカウントで複数店舗を管理。店舗ごとにデータは完全分離
- 管理者は全企業を横断管理。企業選択 → 店舗選択の2段階で操作
- 5段階の権限で、スタッフには原価情報を非表示にするなど、ロールに応じた表示制御
- メール招待でユーザーを追加。招待リンクから氏名・パスワードを設定するだけで参加
▲ 企業管理:ユーザー招待・店舗管理・権限ロール設定を一画面で
抱えていた課題 / 依頼の背景
飲食店の原価管理は、多くの現場で次のような課題を抱えています。
- Excelの限界:食材の価格が変わるたびに、関連するすべてのメニューの原価を手作業で更新する必要がある。仕込みを経由するメニューはさらに複雑で、更新漏れが起きやすい
- 原価率の把握が遅い:月末にまとめて計算するため、月中の意思決定に間に合わない。「今月の原価率が高いメニューはどれか」がリアルタイムに分からない
- 属人化:原価計算のルールが担当者の頭の中にあり、その人が不在だと更新できない
- 多店舗化への対応:店舗が増えるほど食材の管理が煩雑になり、店舗ごとの原価率の比較が困難
- スタッフへの情報開示:原価情報をどこまでスタッフに見せるかの制御ができない
「食材を登録してレシピに紐付ければ、原価率が勝手に出る。食材の値段が変われば、関連するすべてのメニューの原価が自動で更新される」——この当たり前のことを、手間なく実現するツールが求められていました。
依頼から開発完了までの流れ
- 原価管理フローのヒアリング — 現場の食材発注から原価計算までの業務フローを詳細にヒアリング。仕込みレシピの入れ子構造や、単位変換(g/kg/ml/L/個/本)の扱いなど、現場ならではのルールを整理しました。
- 最小構成の提案・決定 — 「まず食材とレシピの原価計算が正しく動くこと」を最優先に、食材マスタ → 仕込みレシピ → メニューレシピ → 原価分析の一連のフローを最小構成で設計。棚卸やCSV連携は段階的に追加しました。
- 生成AIを活用したスピード開発 — 生成AI(AIコーディング)を開発プロセスに組み込み、設計・実装・テストを高速に反復。短期間で動く本番環境を用意しました。
- 実データで検証しながら改善 — 実際の食材データ・レシピデータを入れて、「この原価率は正しいか」「この画面で分かりやすいか」を現場の目線で確認。計算ロジックの細かなズレや、UIの分かりにくさをその場で修正していきました。
- リリースと継続改善 — 本番リリース後も、招待メールの送信機能、パスワードリセット、モバイルサイドバー、カテゴリ別原価率表示など、運用で見えてきた改善を継続的に反映しています。
今回のアプリ開発のポイント
ポイント1:食材 → 仕込み → メニューの「入れ子」原価計算を自動化
飲食店の原価計算で最も厄介なのが、仕込み品を経由するメニューの原価計算です。例えば「デミグラスソース」は複数の食材から作られ、「ハンバーグステーキ」はそのソースを使う——という入れ子の関係があります。
RecipeCostでは、仕込みレシピのg単価(原価合計÷総量)を自動算出し、メニューレシピで仕込み品を選ぶと、そのg単価が自動的に材料の単価として適用されます。食材の価格が変われば、仕込みレシピのg単価が変わり、それを使うメニューの原価率も連動して更新されます。「どこかの価格が変わったら、全部手で直す」という作業が不要になりました。
ポイント2:生成AI × 反復開発で「使いながら育てる」
原価管理ツールでは、「数字が現場の実態と一致していること」が最も重要です。計算が少しでもズレると、そのツール自体が信頼されなくなります。
そこで私たちは、生成AIを活用して開発サイクルを高速化し、実データを入れて確認 → ズレがあればその場で修正というループを何度も回しました。「カンマ区切りで金額が見にくい」「保存ボタンが画面上部にあって気づきにくい」「スタッフに原価が見えてしまう」——実際に触ってみないと分からない課題も、スピーディに改善できました。
ポイント3:5段階の権限管理で「見せる情報」を制御
飲食店では、スタッフに原価情報を見せたくないケースが少なくありません。RecipeCostでは、管理者(運営)→ 企業の責任者 → エリアマネージャー(SV) → 店長 → スタッフの5段階で、各ロールが見える画面と情報を制御。スタッフロールでは仕入単価・原価率・粗利などのコスト情報が非表示になり、原価分析画面へのアクセスもブロックされます。
さらに、管理者は複数企業を横断管理でき、「企業を選択 → その企業の店舗・メンバー・設定を管理」という運営者向けのフローも備えています。
▲ ダッシュボード:登録食材数・メニュー数・平均原価率・今月の売上を一目で把握
ポイント4:PCでもスマホでも。現場でサッと入力できるモバイル対応
原価管理ツールは「オフィスのPCで腰を据えて使うもの」——そう思われがちですが、飲食店の現場では、仕込みの合間や仕入れの受け取り時など、その場でサッと記録・確認したい場面が数多くあります。
RecipeCostは、PC・タブレット・スマートフォンのどれでも同じように使えるレスポンシブ対応。わざわざ事務所のPCを立ち上げなくても、現場のスマホから食材や原価をその場で確認・入力できます。「気づいたときにすぐ入力できる」手軽さは、日々の記録を続けるうえで想像以上に効いてきます。実際、現場のスタッフからも「PCを開かずに済むのが助かる」という声が上がっており、"入力のハードルを下げること" が原価管理を定着させる大きなポイントだと考えています。
▲ スマホ対応:PCでもスマホでもサッと入力・確認。レスポンシブ対応で現場のスマホからもアクセス可能
Citrus App 開発責任者からのコメント
飲食店の原価管理は、「食材の値段を入れて、レシピに紐付ければ、原価率が出る」——言葉にすると単純ですが、実際には単位変換・仕込みの入れ子・業者ごとの価格管理・棚卸との連動など、現場の複雑さが詰まった領域でした。
今回のプロジェクトでは、生成AIを活用して開発スピードを上げながらも、計算ロジックの正確性には徹底的にこだわりました。全計算式のゼロ除算チェック、ロール別の権限制御、API整合性の検証など、AIコーディングで作りつつ人の目で品質を担保するプロセスが、信頼できるツールにつながったと感じています。
「ExcelからSaaSへ」の移行は、単にツールを置き換えるだけでなく、現場が毎日触り続けられる使いやすさと、経営者が信頼できる数字の正確さの両立が求められます。今後も、現場のフィードバックを取り入れながら改善を続けていきます。
使用技術
- フロントエンド/バックエンド:Next.js(App Router)+ TypeScript
- ORM:Drizzle ORM
- データベース:Neon(サーバーレス PostgreSQL)
- 認証:Auth.js v5(Credentials Provider)
- インフラ:Vercel
- メール配信:Resend
- グラフ描画:Recharts
- 開発手法:生成AI(AIコーディング)を活用した高速・反復開発
その他の業務改善SaaS・専用アプリ開発事例はこちら
合同会社 CitrusApp では、飲食店をはじめとする業界特化型のSaaS・業務アプリを、生成AIを活用した高速開発で提供しています。「Excelで限界を感じている」「業務を仕組み化したい」「自社専用のツールが欲しい」——そんなお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
