合同会社CitrusApp(シトラス・アップ)は、求人広告の運用代行を手がける株式会社フレンドツリー様の社内ツール「求人管理業務支援システム」を開発いたしました。受領した求人データを各求人サイトの入稿フォーマットへ一括変換し、NG表現・最低賃金・文字数などのチェックまでを自動化する、現場の運用に寄り添った業務効率化ツールです。
求人管理業務支援システムとは?
「毎日の転記作業」を、ボタン一つの変換に
求人広告の運用代行では、クライアントから受け取った1つの求人データを、掲載する求人サイトごとに異なるフォーマットへ作り替える必要があります。サイトが5つあれば5通りのCSV、項目の並びもコードの振り方もバラバラ。これを人手でコピー&ペーストしていては、時間もかかり、転記ミスも起こります。
本システムは、この「受領データ → 各サイト形式」の変換を自動化し、あわせて掲載前に必要な各種チェック(差別的表現などのNGワード、最低賃金割れ、文字数オーバー)まで一気に行うツールです。担当者は結果を確認して承認するだけで、複数サイト分のCSVを一度に書き出せます。
求人管理業務支援システムの特徴
- 1つの元データから複数サイトのCSVを同時生成
- 掲載前チェックを自動化(NG表現・最低賃金・文字数上限・コード表突合)
- 生成AIを使わない設計でランニングコストがかからず、データはブラウザ内で完結
- 辞書・コード表・最低賃金は画面から更新可能で、ルール変更に運用側で追従できる

抱えていた課題 / 依頼の背景
クライアントは、複数の求人媒体への出稿を代行されている企業様です。事業の拡大とともに扱う求人件数・掲載サイト数が増え、「受領データを各サイトの形式に変換する」という定型作業が、担当者の時間を大きく圧迫していました。
さらに、求人広告には男女雇用機会均等法や最低賃金など、法令・媒体規定に関わるチェックが欠かせません。これらを一件ずつ目視で確認していては、件数が増えるほど見落としのリスクも高まります。
「変換とチェックの手作業をなくして、担当者を"確認と判断"に集中させたい」。そんなご相談から、弊社のウェブサイトを見つけてお問い合わせくださいました。初回のヒアリングでは、単にツールを作るのではなく、実際の運用フローに合う形で仕様を一緒に固めていけるパートナーを求められていることが伝わってきました。
主な機能
本ツールは大きく「コンバートツール」と「リフレッシュツール」の2つで構成されています。
コンバートツール(受領データ → 各サイト形式へ変換)
- 受領CSV(Shift-JIS・66列)の取り込みと、5サイト分の入稿CSVへの一括変換
- NG表現・コンプライアンスチェック(辞書照合で自動検出/該当箇所をハイライト表示)
- 最低賃金チェック(時給換算で地域別の最低賃金割れを検出)
- 文字数オーバーチェック(上限超過にフラグ、色付きExcelでの編集にも対応)
- コード表の自動突合(雇用形態・勤務地などの名称→コード変換、未突合は差し戻し)
- 固定文言・固定値の自動補完、クライアント種別による書式の出し分け
- 修正結果を反映した媒体別CSVを、1つのZIPにまとめてダウンロード
リフレッシュツール(掲載中求人の再掲載支援)
- 媒体からダウンロードした全量CSVの取り込みと、更新日付の一括変更・指定列の空欄化
- アップロード上限に合わせた自動分割(大容量CSVにも対応)
管理・設定
- NGワード辞書・最低賃金・各種コード表を画面から閲覧・追加・編集
- 変換ルールを読み取り専用で一覧できる「確認用リファレンス」画面



成果
- これまで求人1件あたり数分かかっていた「サイトごとの転記」が、取り込み→確認→出力の数ステップに短縮されました。
- NG表現・最低賃金・文字数といった掲載前チェックが自動化され、目視に頼っていた見落としリスクを大きく減らせました。
- 生成AIも専用サーバーも使わないため、運用にあたっての月額ランニングコストが実質ゼロ。件数が増えてもコストは膨らみません。
- 辞書やコード表を運用側で更新できるため、媒体側のルール変更にも自社で追従できる体制になりました。


依頼から開発完了までの流れ
初回ヒアリングと業務フローの確認 現在の運用(どのデータを、どのサイトへ、どんなルールで変換しているか)を詳しく伺い、自動化できる部分と、人の判断が必要な部分を切り分けました。
実データを踏まえた仕様の可視化 受領データの実フォーマット(列構成・文字コード・コードの振り方)を確認しながら、変換ルールを1項目ずつ整理。認識のズレを早い段階でつぶしました。
チェック・変換エンジンの実装 変換ロジックとチェック機能を、外部ライブラリに依存しない形で実装。単体テストを整備し、ルール変更に強い土台を作りました。
画面(UI)の実装とデモ 担当者が迷わず操作できる画面を作成し、実際の画面でデモ。「ここはこう見えた方が分かりやすい」といった現場の声をその場で反映しました。
クライアント確認と細部の詰め 媒体ごとの細かな仕様(どの列に何を入れるか、コードの桁の扱い、文字数の上限など)を、質問と回答を積み重ねて一つずつ確定していきました。
フィードバック反映とリリース 運用の中で出てきた要望(例:文字数オーバーをExcelで確認・編集したい 等)を継続的に取り込み、実運用に耐える形へ磨き込みました。

今回のアプリ開発のポイント
ポイント1:ランニングコストを生まない「生成AIに頼らない・サーバーを持たない」設計
業務ツールは「作って終わり」ではなく、使い続ける限りコストがかかるのが本質です。安易に生成AIや専用サーバーを組み込むと、便利に見えても、件数に比例して月々の従量課金が積み上がっていきます。
今回、私たちは「その処理は本当にAIが必要か?」を一つずつ見極めました。NG表現の検出は辞書照合で、文字数チェックはカウントとフラグで、最低賃金は数値比較で——いずれも確実かつコストゼロの方法で実現できます。処理はすべて利用者のブラウザ内で完結する設計としたため、専用サーバーの計算コストもかかりません。
また、求人データがブラウザの外に出ないため、個人情報を含みうるデータを扱ううえでの安心感にもつながりました。「安く作る」だけでなく「安く使い続けられ、かつ安全」——この設計思想が、日々使う業務ツールでは技術的な派手さ以上に重要だと考えています。
ポイント2:機能を「足す」前に、作らないものを決める。仕様の引き算
業務ツールの開発では、「あれもできたら」「これも自動化できたら」と要望が広がりがちです。しかし、そのすべてを推測で作り込むと、複雑さと開発コストだけが膨らみ、かえって使いにくいものになりかねません。
仕様が曖昧な箇所は勝手に推測せず、クライアントと質問と回答を積み重ねて一つずつ確定。「この分岐はこの媒体だけで良いか」「このコードは桁埋めが必要か」といった細部まで、確認してから実装しました。
一見遠回りに見えますが、この「引き算」こそが、手戻りを減らし、本当に必要な機能だけを最短距離で仕上げる近道です。作らない判断を含めて誠実にお伝えすることが、限られた予算と時間で確実に使えるものを届けることにつながりました。
ポイント3:現場の"実データ"と"運用"に合わせて磨き込む
業務ツールの真価は、きれいなサンプルではなく、現場の実データで問題なく動くかで決まります。今回のプロジェクトでも、実データならではの論点が数多くありました。文字コード(Shift-JIS)の扱い、大容量CSVでも画面が固まらない処理、そして「府中市(東京都/広島県)」のような同名地名を取り違えずにコード変換する仕組みなど、細部にこそ運用品質が現れます。
また、リリース後も現場からのフィードバックを継続的に反映しました。たとえば「文字数オーバーの件数が多いので、一度Excelにまとめて確認・編集したい」というご要望には、上限を超えたセルが自動で赤くなり、編集して収まると赤が消えるExcelを書き出し、編集後に取り込んで最終CSVを作る"往復"の仕組みで対応。テスト用にログイン不要で試せるゲストモードも用意し、クライアント側での検証をスムーズにしました。
こうした「現場に合わせて育てる」姿勢は、パッケージ型のツールとは異なり、伴走型の開発だからこそできることだと考えています。ツールは納品して終わりではなく、運用に乗せてはじめて価値が出ます。私たちは、その立ち上がりまでを一緒に走ることを大切にしています。
技術構成
- 変換エンジン:外部ライブラリに依存しない自作ロジック(ブラウザ/サーバー両対応)。CSV入出力・各サイトへのマッピング・NG/最低賃金/文字数チェック・コード表突合・差し戻し・大容量ファイルのストリーミング処理などを実装し、単体テストで品質を担保。
- フロントエンド:静的ホスティング(Vercel)上で動作するブラウザ完結型のアプリ。ログイン・設定の保存にはSupabaseを利用。
Citrus App 開発責任者からのコメント
今回のプロジェクトは、「派手な機能を盛り込む」ことよりも、「毎日の作業を、確実に・安く・安全に減らす」ことに徹底的にこだわった開発でした。
業務ツールは、使う人が毎日触れるものだからこそ、動作の確実さと運用コストが効いてきます。運用コストを抑えた設計は一見地味に見えるかもしれません。しかし、件数が増えても月々のコストが膨らまず、データも外に出ない——この堅実さこそが、長く使われる業務ツールの条件だと考えています。
そしてもう一つの要因は、クライアント様との対話です。曖昧な部分を推測で作らず、一つずつ確認しながら仕様を固め、リリース後も現場の声を反映して磨き込む。事業のパートナーとして密にコミュニケーションを取れたことが、実運用に耐えるツールへとつながりました。
業務効率化ツール・社内システムの開発は、Citrus App にご相談ください。
「この作業、自動化できないか?」というご相談から、実運用に乗せるところまで、伴走してご支援いたします。お気軽にお問い合わせください。
