合同会社 Citrus App(シトラス・アップ)は、株式会社 Do For 様の推薦入試向け AI 学習アプリ「プレ☆スタ」に、新たに英語学習モジュールを追加しました。

前回リリースでは小論文・面接練習を軸に AI で学習支援を行う SaaS としてベータリリースまで伴走しましたが、今回はそこに 英単語・穴埋め問題・長文読解・リスニング・英作文添削・AI 英会話 の 6 種類の学習コンテンツを一気に追加。学習コンテンツの数だけで言えば「もう一本の別アプリ」に相当する規模の拡張になりました。

本記事では、複数の生成 AI サービスを組み合わせながら 6 種類の学習体験を単一アプリに統合するにあたり、どのように設計・開発を進めたかをご紹介します。

目次
  1. 追加した英語学習モジュールとは?
  2. 追加した 6 つの学習コンテンツ
  3. 開発のポイント
  4. 実装した技術スタック
  5. 開発責任者からのコメント
  6. AI を活用した学習アプリ・SaaS 開発は Citrus App にご相談ください

1. 追加した英語学習モジュールとは?

「プレ☆スタ」はもともと、推薦型・総合型選抜の小論文添削と模擬面接を AI で練習できる、高校生向けの学習プラットフォームです。今回、大学入試を控えた高校生が「一般選抜科目としての英語」も並行して対策できるように、英検・TOEIC の頻出フォーマットをカバーする 6 種類の学習コンテンツを新規に構築しました。

生徒はカテゴリ(英検 4 級 / 3 級 / 準 2 級 / 2 級 / TOEIC 600 など、運営が自由に追加可能)を選び、その中で 6 種類のコンテンツを組み合わせて自分に合った学習ができる構成です。

カテゴリ内の学習メニュー(英単語)カテゴリ内の学習メニュー(穴埋め〜英作文)

▲ カテゴリ(英検 3 級 など)を選ぶと、英単語から AI 英会話までの学習メニューが並びます

2. 追加した 6 つの学習コンテンツ

① 英単語

  • 単元グループ単位(20〜30 語ずつ)でフラッシュカード + 4 択問題を提供
  • 単語の音声読み上げ(TTS)、「わからない」ボタンから復習リストへの自動追加
  • AI 一括生成:運営が「英検 2 級 でる順 A 20 単語」等のプロンプトを入力するだけで、Claude が意味・品詞・例文・4 択誤答肢まで一括生成
  • 生徒側には「連続学習日数」「累計習得語数」を表示して継続を促す
英単語 フラッシュカード(表)英単語 フラッシュカード(裏)英単語 4 択問題

▲ 英単語:フラッシュカード(タップで意味を表示)と 4 択問題。「わからない」で復習リストへ、音声読み上げにも対応します

② 穴埋め問題(短文空所補充 4 択)

  • 英検 大問 1 / TOEIC Part 5 相当の形式
  • 1 問ごとに即時採点 + 解説
  • カテゴリ内のプールからランダム出題(1 回 1〜20 問を選択可能)
  • こちらも AI 一括生成に対応
穴埋め問題(出題)穴埋め問題(即時採点+解説)

▲ 穴埋め問題:英検 大問 1/TOEIC Part 5 相当の 4 択。1 問ごとに即時採点+解説が表示されます

③ 長文読解

  • 英検 大問 2-3 / 大問 4 相当
  • パッセージ + 内容一致 4 択(1 パッセージ 2〜3 問)
  • 掲示・広告・E メール・説明文などジャンルを幅広くカバー
  • 挿絵画像も DALL-E 3 で自動生成できる仕組みを実装
長文読解(パッセージ)長文読解(内容一致 4 択)

▲ 長文読解:パッセージを読んで内容一致 4 択に回答。掲示・広告・メール・説明文など幅広いジャンルをカバーします(挿絵は DALL-E 3 で自動生成も可能)

④ リスニング

  • 運営が英文スクリプトを登録すると、OpenAI TTS で音声(mp3)を自動生成
  • 音声はストレージにキャッシュされ、再生成は不要
  • 声質(女性・男性・落ち着き・明るい 等 6 種)と再生速度(0.5〜2.0 倍)をお題ごとに設定可能
  • 生徒は音声を何度でも再生して 4 択に回答、回答後はスクリプトと解説で復習

⑤ 英作文添削

  • 英検 ライティング/自由英作文形式
  • 生徒の答案を Claude Sonnet が Content / Organization / Vocabulary / Grammar / Mechanics の 5 観点で採点
  • 具体的な誤り修正(誤 → 正 → 理由の 3 点セット)を 5〜10 個提示
  • 全文添削版(AI が自然な英語に書き直したもの)も同時に返却
  • 級別プリセット(基礎 / 中級 / 上級)で採点の甘辛を制御

⑥ AI 英会話

  • OpenAI Realtime API による音声対話形式の英会話練習
  • AI 面接官と 3〜10 分の自由会話 → 終了後に 5 観点採点(Pronunciation / Fluency / Vocabulary / Grammar / Content)
  • 会話ログ(Whisper 転写)は生徒の復習素材としても活用
  • 級別プリセットで面接官の話し方(速度・語彙難度)が自動的に変化

プラスα:単語テスト機能

生徒の学習コンテンツとは別に、先生が「対象単元・問題数・配点」を指定してカスタムテストを作成・出題できる機能も実装しています。結果は DB に保存され、CSV エクスポートで成績管理も可能です。

3. 開発のポイント

ポイント1:AI モデルを「適材適所」で使い分けた設計

英語学習モジュールでは、OpenAI と Anthropic のモデルを用途に応じて使い分けています。それぞれの AI の強みが最も生きる場所に配置することで、コストと品質のバランスを取っています。

ポイント2:級別プリセットで「採点の甘辛」を制御可能に

英作文採点で「英検 3 級の生徒に対して大学生レベルの厳しさで採点され、単文が書けても 70 点台に留まる」という初期の課題がありました。これは AI 採点の宿命的な問題で、単一プロンプトでは対処しきれません。

そこで、基礎(英検 4-3 級)/中級(英検準 2-2 級)/上級(英検準 1 級+)の 3 段階プリセット を導入。運営がプロンプト本文をレベルごとに編集できる管理画面を用意し、変更内容は全お題に即反映される仕組みにしました。

  • 基礎: 「問いに答えて文法が概ね正しければ 80 点以上を積極的につける」
  • 中級: 「バランス評価、80 点は妥当なライン」
  • 上級: 「ネイティブ寄りの自然さと論理展開の深さを求める辛口評価」

AI 英会話でも同様に、面接官の話し方(速度・語彙・質問形式)が級レベルで変わるようにプロンプトを 3 段構成にしています。

ポイント3:Voice Activity Detection の綿密なチューニング

音声会話機能でよくある「生徒が言い淀んだり考え込んだりしていると AI が被せてくる」問題への対処には、OpenAI Realtime API の VAD(Voice Activity Detection)設定を実運用の中で細かく調整 しました。

初期は 1.2 秒無音で「話し終わり」と判定していましたが、実際の面接練習では 2〜3 秒の思案時間が普通に発生します。プロンプトで「待って」と指示しても、VAD 判定が先に走ってしまうため、これは本質的にはパラメータ側でしか制御できません。

現在は日本語模擬面接では 5 秒、英語会話では級レベルに応じて 1.2 秒〜2.5 秒と、シチュエーションに合わせて設定を分けています。環境変数から本番設定を再デプロイなしで変更可能な仕組み も同時に用意しており、クライアント様からのフィードバックに即応できる体制にしています。

ポイント4:AI 生成でコンテンツ制作コストを最小化

英語学習コンテンツはボリュームが命ですが、単語 100 個・穴埋め 50 問・長文 20 パッセージを人力で作るのは現実的ではありません。

そこで運営向けの AI 一括生成機能を各コンテンツに実装:

  • 英単語: 「英検 2 級 でる順 A 20 単語」→ 意味・品詞・例文・4 択誤答肢まで 一発生成
  • 穴埋め問題: 出題形式と難易度を指定 → 10 問一括生成、正解 + 解説付き
  • 長文読解: トピックと語数を指定 → パッセージ本文 + 内容一致 4 択 2〜3 問 + 挿絵イラスト(DALL-E)まで自動生成
  • リスニング: 英文を貼るだけで OpenAI TTS が mp3 化

これにより、運営様は「AI が出したドラフトを軽く手直しして公開」というワークフローで、短時間で大量のコンテンツを揃えられます。

4. 実装した技術スタック

前回のプレ☆スタ本体と同じスタックを踏襲しつつ、AI 連携部分を大幅に拡張しました。

  • フレームワーク: Next.js
  • DB・認証: Supabase
  • ホスティング: Vercel
  • AI(対話・音声): OpenAI
  • AI(採点・生成): Anthropic Claude

5. 開発責任者からのコメント

今回の英語モジュール追加は、機能規模だけで言えば「別アプリを 1 本開発する」ほどのボリュームでしたが、既存のプレ☆スタと同じ UI・同じ操作感の中に自然に組み込む ことを最優先に設計しました。生徒にとって「小論文はこう、面接はこう、英語はまた別」と学習ごとに操作を覚え直す必要がなく、一つのアプリの中で完結できる体験を作れたと思います。

また、生成 AI の使い分け・級別プリセット・VAD チューニングなど、実際に運用に乗せて初めて必要性が見えてくる調整点も多く、リリース後も姉﨑様(Do For 代表)からのフィードバックを都度反映しながら、細かい改善を継続しています。「AI 活用の学習アプリを、実際の学校現場で使えるレベルまで磨き込む」というプロセスに、今回の開発事例が少しでも参考になれば幸いです。

6. AI を活用した学習アプリ・SaaS 開発は Citrus App にご相談ください

合同会社 Citrus App(シトラス・アップ)は、生成 AI(Claude・OpenAI 各種)を業務システム・SaaS に組み込む実装力と、要件を汲み取るヒアリング・提案スキルを活かしたスピード開発で、お客様のアイデアを迅速に形にする開発会社です。

「AI を使った学習・トレーニング系のアプリを作りたい」「既存の SaaS に AI 機能を追加したい」「音声・チャット・添削など複数の AI 機能を組み合わせたい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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