合同会社 CitrusApp(シトラス・アップ)は、自社の営業・請求・案件管理を一気通貫で扱う業務改善 SaaS 「Citrus ERP」を開発し、現在自ら運営中です。

本記事は、他社様への納品事例ではなく、「自社の SaaS 事業を回すために作った ERP を、そのまま運営しながら育てている」という自社事例のご紹介です。実際に代表自ら毎日使いながら、「もう一歩使いやすくしたい」「この数字も見えたほうが判断しやすい」と気づいた点を、その日のうちに直していく——という運営スタイルで作り込まれています。

「パッケージ ERP を導入したけれど、自分たちの業務に合わないところが多くて結局 Excel と併用している」——そんな悩みを持つ会社は少なくありません。 Citrus ERP は「会社ごとの業務にフィットする、カスタマイズ前提の業務改善システム」のリファレンスとして、当社の受託開発の"見本"にもなっています。

目次
  1. Citrus ERP とは?
  2. 主な機能ハイライト
  3. なぜ "自作 ERP" なのか — パッケージ ERP との違い
  4. 使いながら気づいた改善を、その日に反映できる
  5. 開発のポイント
  6. 開発責任者からのコメント
  7. 使用技術

1. Citrus ERP とは?

Citrus ERP は、SaaS 型の開発会社(=当社)の業務をそのまま反映した、営業〜制作〜請求〜経営分析 まで一気通貫の業務システムです。特徴は次の通り:

  • サブスク経営ダッシュボード — MRR / 粗利率 / リード獲得費 / 貢献利益 / CAC / LTV を 1画面で。決算期 (12月始まり) タブ、前年同月オーバーレイ付き

  • 問合せ (Inquiry) 管理 — アポラク / 獲れるコトバ / CitrusApp HP 等の source 別集計。 AI 返信生成 → Gmail 下書き を 1 クリックで作成

  • 顧客 → 案件 → 契約 → 請求 → 入金 の一貫フロー — 二重転記ゼロ

  • 月次サブスク請求の一括生成 — 案件の月額 + ショット (単発追加) を一括で請求書化

  • エンジニア発注 (原価) 管理 — 月額発注 + 単発の期間管理、Cost の startDate / endDate で自動集計

  • 契約書テンプレート + 変数差込 — 基本契約 + 個別契約の 2 本立てに対応、AI レビュー付き

  • タスク管理 — かんばん (デフォルト) と一覧の両表示、期限超過は「本日」画面に自動表示

  • クイック入力 + AI アシスタント — 音声 or 貼り付けで、AI が顧客・案件・MTG・タスクを判別して登録候補を自動作成

  • PC もスマホも — レスポンシブ対応、外出先でも全機能動作

2. 主な機能ハイライト

2-1. サブスク経営ダッシュボード — 6 系列の経営指標を 1 画面で

SaaS 経営で見たい数字は意外と多いです。「今月の MRR」だけでなく、粗利、貢献利益、リード獲得費、前年同月比 が同じタイムラインで比較できて初めて、「増えているのか、実質の儲けは出ているのか」が判断できます。

Citrus ERP のダッシュボードは、6 系列 (売上 / 月額原価 / 粗利 / 前年同月 / リード獲得費 / 貢献利益) を チェックボックスで個別に ON/OFF でき、Y 軸は「直近12ヶ月の最大値」に固定するため、期タブを切り替えても縦軸が動かず 素直に比較できます。

6系列全部 ON にしたダッシュボード

▲6 系列 (売上バー / 原価バー / 粗利ライン / 前年同月ピンク破線 / リード獲得費バー / 貢献利益紫ライン) を全部 ON にした状態。粗利 (青) と貢献利益 (紫) の距離 = リード獲得費の大きさ。

2-2. グラフ ↔ 表のカードフリップ切替

「グラフで傾向は分かったけど、実の数字も見たい」——そんな時のために、ボタン 1 つでグラフが反転 して数値表が現れる実装に。動きはくるっと 3D フリップ。

縦横反転の数値表

スマホのダッシュボード

▲グラフをくるっと反転させた数値表 (指標 × 月、6 指標 × 14ヶ月)。hover でフル値 (¥1,287,955) が出ます。下はスマホ画面——出先でも主要 KPI をチェックできます。

2-3. 問合せ管理 — source 別に集計、AI 返信 → Gmail 下書き

問合せが入ると CitrusApp HP / アポラク / 獲れるコトバ等の source ごとに集計され、上部のタブで経由別に絞り込みできます。詳細画面では、AI が返信案を生成 → Gmail の下書きまで自動作成する導線を実装。「メール返信の心理的ハードル」を徹底的に下げて、リード獲得費の費用対効果を最大化。

問合せ一覧画面

▲問合せ一覧。経由タブ (CitrusApp HP 10件、アポラク 47件、獲れる 16件 …) で絞り込み。一覧行は受信日・経由・会社・送信者・種別・ステータスの 6 列で整理。

2-4. 案件詳細 — 月額サブスク + ショット + 履歴を一画面で

案件 (Project) の詳細画面では、月額サブスクの履歴管理 (値上げに対応)、ショット追加 (初期開発費や途中の機能追加)、月次の実費請求明細 (Bubble / xano 等の外貨払を為替レートで JPY 換算) を全部 1 画面で管理。月末には 「今月分の請求書を作成」 ボタン 1 発で生成されます。

案件詳細画面 (full page)

▲案件詳細のフル画面。現行月額 (¥120,000) + 履歴 (¥80,000 → ¥100,000 → ¥120,000) + ショット追加 + 月次実費 + 案件概要が縦一列で見渡せる。

2-5. タスクかんばん — ドラッグ&ドロップでステータス変更

タスクはデフォルトでかんばんビュー。未着手 / 対応中 / ブロック / 完了の 4 列で、カードのドラッグ&ドロップでステータスを変更できます。期限超過は「本日」画面に自動で出現。期限日と案件がセットで見えるので、「今やること」が迷わない。

タスクかんばん

▲タスクかんばん。各カードは案件 (PRJ-XXX) と顧客名、期限日、優先度 (高/中/低) を併記。一覧ボタンでリスト表示に切替可能。

2-6. 喋るだけで、顧客・案件・MTG がまとめて登録できる(クイック入力)

今回のシステムでいちばん便利だと感じているのが、この音声によるクイック入力です。たとえば移動中や打ち合わせ直後に、スマホに向かって——

「さっき A 社と初回ミーティングをした。新しく受注管理システムの案件を相談されたので、この MTG をその案件に紐付けておいて」

——このくらいざっくり喋る(または貼り付ける)だけで、AI が内容を読み取り、顧客(A 社)・案件(受注管理システム開発)・議事録(この MTG の記録)の登録候補を自動で組み立てます。

こちらがやることは、候補を確認してボタンをポチッと押すだけ。顧客と案件の新規登録から、MTG をその案件に紐付けるところまで、ほとんどタイピングせずに完了します。「入力が面倒で更新が止まる」という業務システムのあるあるを、根本から解消できるのが強みです。

スマホのクイック入力画面

▲クイック入力。喋った(貼り付けた)内容から、AI が顧客・案件・議事録・タスクの登録候補を自動で組み立て、確認して押すだけで登録できる。

2-7. PC もスマホも — 全機能レスポンシブ対応

SaaS 経営者の現実は、事務所の PC に張り付いている時間より、移動中や顧客先でスマホを見る時間 の方が長いことがよくあります。 Citrus ERP はチャートの横スクロール、フォームの縦積み、ボトムナビなど、モバイル特有の UX に配慮して実装。前述のクイック入力とあわせて、外出先でも "喋るだけ・見るだけ" で業務が回ります。

スマホ問合せスマホタスクスマホダッシュボード

▲スマホ対応の主要画面 (問合せ / タスク / ダッシュボード)。上部にアプリロゴ、下部にボトムナビ、全機能が縦スクロールで完結。

3. なぜ "自作 ERP" なのか — パッケージ ERP との違い

市販のパッケージ ERP は「ある会社の業務」をモデルにして作られていて、機能は幅広く揃っています。ただ実際に導入すると、次のようなことがよく起こります:

  • 自分たちの業務に合わない画面が半分以上で、結局 Excel と併用

  • 「この数字をもうひと段掘り下げたい」がシステムでできず、CSV 出して Excel で集計

  • 細かいカスタマイズが高額 or 時間がかかる

  • SaaS モデル特有の指標 (MRR / CAC / LTV / 貢献利益 …) がそもそも出せない

一方、Citrus ERP の発想は逆で、「その会社の業務にフィットする最小の機能を、生成 AI で短期間にカスタム実装する」というものです。パッケージの要らない機能は存在せず、必要な数字は必ず見える。「導入の労力」も「使わない機能に払うコスト」も発生しません。

4. 使いながら気づいた改善を、その日に反映できる

自社で毎日使っているからこそ、「ここはもっとこうしたい」という改善点が使うたびに見つかります。実際に今回も、運用しながら気づいた次のような点を、その場で直してきました。

  • 一覧の並び順を変えたい

  • この数字は表よりグラフで見たほうが直感的に分かる

  • グラフにこの指標も重ねて表示したい

こうした「実際に使ってみて初めて分かる使いにくさ」を、気づいたその日のうちに実装して本番へ反映できる——ここが、従来のパッケージ ERP との一番の違いだと考えています。パッケージ ERP では「次のバージョンで対応」「カスタマイズ見積もりで数か月待ち」になりがちな改善が、翌朝の経営判断に間に合う。使いながら育てられることこそ、生成 AI を活用した私たちのやり方の大きな強みです。

5. 開発のポイント

ポイント1:自社で使うから「本当に必要な機能」が分かる

「ユーザーヒアリング」をいくらやっても、実際に自分が経営する立場で使わないと分からないことがあります。例えば今回の Citrus ERP では、「貢献利益 = 粗利 − リード獲得費」 という独自指標をチャートに追加する判断になりました。会計上の標準ではない数字ですが、「SaaS モデル自体の儲け力」を測るにはこの数字が欲しい —— そう感じたからこそ追加した機能です。

お客様の会社に導入する時も、同じ発想で「その業界・その会社の経営者が実際に見たい数字」を ヒアリングではなく一緒に使いながら探す スタイルで進めます。

ポイント2:生成AI で「気付いたその日に直る」開発サイクル

Citrus ERP の全機能は、生成 AI (Claude) を使った AI コーディングで実装されています。「Y軸の目盛が 500万でスッカスカに見える」「スマホでグラフが横スクロールしない」「表のセルが ¥1,287,955 だと 14 列に収まらない」——これらの気付きは、気付いた日のうちに修正・本番デプロイ まで完了しています。

従来の受託開発だと、こういう細かな改善は「次のリリースで」となりがちでしたが、AI コーディングとの相性がよい領域では、数十分で実装 → 本番反映 が現実になっています。

ポイント3:カスタマイズ前提の設計

Citrus ERP のコードベースは、「別の会社の業務」に移植する前提で設計されています。例えばダッシュボードの KPI カードは 6+1 枚が自由に入れ替え可能、チャートの系列は 6 系列まで差込可能、権限ロールは 5 段階まで、といった具合で、業種・業務に応じて「必要な部分だけ」引き抜いて再構成 できる構造で作っています。

ポイント4:PC とスマホの情報密度を揃える

モバイル版で機能を削りすぎると、「結局 PC を開く」になってしまいます。 Citrus ERP では、チャートの横スクロール、表のセルコンパクト化 (万単位)、ボトムナビ、音声入力 (クイック入力) など、モバイルでも全機能に到達できる動線を徹底しています。

6. 開発責任者からのコメント

業務システムの世界では長らく「パッケージ ERP を買ってカスタマイズ」が主流でしたが、生成 AI によって「専用業務システムを短期間でゼロから作る」のコストが劇的に下がっています。

Citrus ERP は、それを自分たちで実証するためのシステムです。経営指標を自分で作り、経営判断に直結する数字を自分で決める。その経験を、お客様の会社にそのまま持ち込みます。ノーコード・ローコード + 生成 AI の組み合わせで、"あなたの会社にフィットする ERP" を短期間で一緒に作りませんか。

7. 使用技術

  • フロントエンド/バックエンド:Next.js 14 (App Router) + TypeScript (Server Components + Server Actions)

  • ORM:Prisma

  • データベース:Neon (サーバーレス PostgreSQL)

  • 認証:iron-session (メール + パスワード)

  • スタイリング:Tailwind CSS

  • インフラ:Vercel

  • Gmail 連携:Google OAuth 2.0 + Gmail API (下書き自動作成)

  • AI:Claude Sonnet 4.5 / Haiku 4.5 (返信生成・議事録要約・音声書き起こし処理)

  • 為替:exchangerate.host (USD/EUR/GBP → JPY 換算)

  • 会計連携:freee 会計 API (請求書・入金同期)

  • 開発手法:生成 AI (Claude) を中心に据えた反復開発。気付いた日に修正 → 本番反映

あなたの会社にフィットする ERP、一緒に作りませんか?

「パッケージ ERP を使ってみたけど自分たちの業務に合わない」「Excel とマクロの運用を卒業したい」「SaaS 経営の指標 (MRR / CAC / LTV) をちゃんと見たい」——そんなお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。自社で運営中の Citrus ERP をそのままデモできます。