台湾のオードリー・タンさんの本「オードリー・タンが語るデジタル民主主義」を読んでみました。

興味深かったです。
オードリー・タンのことを名前は知っていても、具体的にどんな考えでどんなことをやった人なのかよく知らなかったので、勉強になりました。
オードリー・タンさんは、ゴリゴリのエンジニア経験があった上で政治にも興味をもち、デジタル技術を用いて誰もが容易に政治に参加できるような、より開かれた「デジタル民主主義」を実現するため行動している人です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)だと言いながら何のデジタル化も進まない今の日本には、こういうリーダーがめちゃくちゃ必要ですね・・・!
以下感想。
ブロードバンド接続は基本的人権
この「台湾ではブロードバンドは重要な基本的人権」とみなしている、という考え方が素晴らしいです。
誰もが低価格で高速インターネットに無制限アクセスできる状態が必須だと。
その上で高齢者のようなデジタル弱者を絶対に排除しない仕組みも用意する。
例えば地方の方で直接の対話を求める場合は一人だけそこに出向いて話をしつつ、その状況をライブストリーミング配信をする。それにより政府の人たちはリモートでコミュニケーションができる。
また、高齢者向けにデジタル能力を高めるための生涯学習の場としてトレーニングプログラムやタブレットを無償で借りれる仕組みなどが用意されているらしい。
政府はオープンAPIによってサポートを提供する側
この考え方がとても素晴らしいと思った。
重要なのは、政府はあらゆる行政情報を公開し、加工や編集が容易に可能なオープンデータの提供を徹底することです。
なるほど、と。
この思想で、政府側は政府しか持てない情報をAPIとしてアクセスできるように公開し、民間企業が主導で一般市民がより便利になるようなサービスを構築する。
これ、めちゃくちゃ効率いいですよね。
日本でもこれをやりたい。
でもなぜ出来ないのか?
日本は1.2億人、台湾2300万人。
台湾は人口が少ないから出来たのか?
これに関するオードリータンの見解が面白い。
「まずは地域で始めればいい」
東京都23区の人口は台湾の人口の半分以下
東京都23区の人口を調べたら968万人とのこと。
台湾は2300万人。
なるほど、確かに東京都23区からまず始めたら、台湾より小さいのでやりやすそうだ。
別にいきなり全国でやる必要はないし、地方よりもITリテラシーが高めの人も多いと思うので導入はしやすいかもしれない。
さらに台湾は20の言語、つまり20の異なる文化がある中でそれを成し遂げているので、ほとんど日本語話者しかいない日本ではもっと簡単なはず。
要は、「小さく始めればいい」ということ。
これはまさにサービス開発・アプリ開発でいうところのMVP(Minimum Viable Product)だ。
いきなり全部じゃなくても、まずは小さく始めることが大事。
その最初の一歩を試すことで、良い点や問題点が出てきて、それをベースにブラッシュアップしていけばいい。
最近読んだエフォートレス思考という本でも同じことを言ってたな。
「はじめの一歩を身軽に踏み出す」
ことが重要だと。
日本でも出来ないかな〜。でもそう簡単にいかないもっと複雑な事情はあるのだろうけども。
他国の事例から学んで良いところを吸収し、成長していきたい。
SNSは議論の場としては全く適していない
なるほど、と思った。
フィルターバブル、という言葉があります。
インターネットではアルゴリズムがユーザーの興味や検索傾向を分析し、コンテンツを選り分けるフィルタリング機能があり、これによって、
「自分の意見と似たような情報だけが提供され、異なる意見に触れることを難しくさせている」
ことになります。
これがフィルターバブルの状態です。
民主主義に大事なのは相手の意見に耳を傾けることだけど、フィルターバブルの中にいる人には反対意見が見えず、自分の意見がますます正しいという意識が強化されてしまう。
たしかに、そんな状態はよく見かけますよね・・・
自分も気をつけないと。
台湾ではそのために市民が政治について自由に意見を表明できる独自のプラットフォームを構築したそうです。
それによるひとつの成功例として、プラスチック製のストローの禁止があります。
ある発起人がそのプラットフォームから意見を出し、全面禁止を求め、最終的には段階的な使用禁止が受け入れられたそうです。
そしてその発起人は16才の女子高生だったそうです。
まだ選挙権を持たない若い世代でも能動的に政治に参加できる環境・文化がある。
素晴らしいですね。
オープンガバメントはリスクを取り除く
「政府の透明性を維持することは、政府のリスクを取り除くことになる」
との考え方が素晴らしいと思いました。
すごくエンジニアらしい考え方だと思います。
システム開発における「スクラム」という手法でも「透明性の担保」の重要性は基本の思想として記述されています。
オードリータンは「オープンソース」や「オープンデータ」の経験則からこの考えに至ったそうです。
「十分な数の目玉があればすべてのバグは洗い出される」
とソフトウェア業界では言われますが、まさにそれを政治に取り入れた例です。
面白いな〜と思いました。
思えば、政治とITは現在の日本ではかけ離れている感じですが、
今はIT技術が一番専攻していて、「グローバルな環境におけるソフトウェアの開発の仕方」は今や「最先端の仕事のやり方」でもあると思います。
(日本環境におけるソフトウェア開発の仕方はまだまだレガシーなところもあるのだけれど・・・)
なので、積極的に政治や他の業界にもそのやり方を取り入れて変えていければ・・・と思いますね!
逆に言うと改善の余地ががたくさんある、ということなので、
自分たちにできるとこはないか、日々模索しながら過ごしていこう。
