加藤俊徳さんの『子どもの脳は8タイプ』を読みました。
この本は、子どもの脳の特性を「リーダー」「論理」「クリエイティブ」「癒し」「バランス」「フレンドリー」「多動」「エキスパート」の8つのタイプに分類し、それぞれの特徴や才能の伸ばし方、親としての接し方を解説した本です。
診断テストも用意されていて、子どもがどのタイプに当てはまるのかを調べられるようになっています。
脳には弱みではなく、強みと潜在能力がある
まず印象に残ったのは、著者の「脳には強みしか存在しない」という考え方です。
脳には発達の凹凸があり、得意なこともあれば不得意なこともあります。しかし、発達していない部分は決して欠点ではなく、まだ十分に使われていない、いわば眠っている潜在能力なのだといいます。
特に子どもの脳は変化が速く、適切な刺激によって短い期間でも大きく成長する可能性があるそうです。
だからこそ、子どものできないことばかりを見るのではなく、その子が今持っている特性を正しく理解し、あるがままの姿を受け入れることが大切だと著者は説いています。
親が子どもの特性を理解することで、子ども自身も受け入れられていると感じ、さらに能力を伸ばしていける。
なるほど、と思いました。
ただ、同時に「それって当たり前のことだよね」とも思いました。
子どもの良いところを見つけて、認めて、伸ばしてあげる。そんなことは脳科学を知らなくても、誰もが大切だと理解しているはずです。
しかし、その当たり前のことを脳科学の視点から説明しようとしているところが、この本の面白さでもあります。
自分でアプリを作って診断してみた
本には脳のタイプを判定する診断テストが掲載されています。
ただ、このテスト、採点がとにかく面倒くさい。
数ページにわたる質問に回答して、それぞれの点数を集計する必要があるのですが、紙に書いて計算する気にはなかなかなれませんでした。
そこで、AIを使って診断アプリを作ってみました。
これが本当に数分で完成してしまうのです。
本を読みながら「これ、アプリにした方が便利だな」と思ったら、その場ですぐに作れてしまう。改めて、すごい時代になったものだと思います。
AIを使ったアプリ開発の面白さは、まさにこういうところにあります。
作成した診断アプリはこちらです。
▲ AIで自作した「8タイプ診断チェック」。64問に「はい/いいえ」で答えると、8タイプ(A群〜H群)の傾向を自動で集計してくれる
(※サクッと作ったものなので、もし判定ロジックがバグっていたら、そのときはごめんなさい🙏)
さて、肝心の診断結果ですが、私は「リーダータイプ」と「バランスタイプ」が強く、次いで「論理タイプ」の傾向があるという結果でした。
なかでも、最も共感したのは論理タイプの説明です。
本によると、論理タイプは自分自身の感情にあまり関心がなく、そもそも感情の動きがそれほど盛んではないそうです。
一見すると感情のコントロールが上手に見えるのですが、実はコントロールしているというより、感情そのものへの関心が薄い。
ところが、そんな論理タイプが感情的になる数少ないきっかけがあるといいます。
それは、自分の理屈が相手に伝わらなかったとき。
これには思わず笑ってしまいました。
まさに私です。
例えば夫婦喧嘩でも、私が感情的になるのは、自分の考えている理屈が相手に理解されなかったときです。
自分としては筋道を立てて説明しているつもりなのに、なぜ伝わらないのか。なぜその理屈が理解されないのか。
そこに強いストレスを感じてしまう。
この説明には、非常に納得感がありました。
もちろん、人間の性格を8つにきれいに分類できるわけではないでしょう。それでも、自分の行動を振り返るきっかけとして、こうしたタイプ分けは面白いものだと思います。
この本で一番面白かったのは「当たり前さ」
そして、今回この本を読んで最も興味深かったのが、タイプ別に紹介されている「子どもへの声かけのコツ」です。
例えばリーダータイプの子どもには、
「それっていいね!」 「君ならできるよ!」
といった言葉をかけてあげるとよいそうです。
逆に、
「そんなくだらないことはやめなさい」 「自分の考えにこだわっていたら世の中は回らないよ」
といった言葉は避けるべきだと書かれています。
論理タイプの子どもが何かを教えてくれたときには、
「へえ、そうなんだ!」 「知らなかった、すごいね!」
と受け止めてあげる。
逆に、
「そんなの知ってるよ」 「はいはい、わかったわかった」
といった反応は、子どもの意欲を失わせてしまうそうです。
クリエイティブタイプの子どもには、
「それ面白いね!」 「どんなふうにしたいの?」
と声をかけてあげる。
逆に、頭ごなしに「間違っている」「やめなさい」と否定しない。
こうした説明が、8つのタイプそれぞれについて書かれています。
そして私は、読みながら何度も同じことを思いました。
「いや、これ全部、当たり前のことじゃないか!」
どのタイプについても、良い声かけとして紹介されている言葉は、誰が聞いても良い言葉です。
逆に、避けるべき言葉として紹介されているものは、誰が聞いても良くない言葉です。
リーダータイプであろうと、論理タイプであろうと、クリエイティブタイプであろうと、頭ごなしに否定されて嬉しい子どもなんていないでしょう。
ここが、私にとってこの本の一番面白いところでした。
正解を知っていることと、実践できることは違う
では、なぜこれほど当たり前のことを、わざわざ本に書く必要があるのでしょうか。
おそらく、それは私たち親が、その当たり前のことを実践できていないからなのだと思います。
子どもの話を最後まで聞いてあげる。
興味を持っていることを否定せず、受け止めてあげる。
できないことを責めるのではなく、できていることを認めてあげる。
どれも、正しいとわかっています。
でも、日々の生活の中ではどうでしょうか。
忙しいときに子どもから話しかけられて、「はいはい、わかった」と適当に返事をしてしまうことはないでしょうか。
子どもが一生懸命考えたことに対して、大人の常識で「それは違うよ」とすぐに否定してしまうことはないでしょうか。
子どもができるようになったことよりも、まだできていないことに目が向いてしまうことはないでしょうか。
少なくとも、私は絶対にできているとは言い切れません。
自分では子どものことをよく見ているつもりですし、良いところを認めているつもりです。
それでも、無意識のうちに子どもの意欲を削ぐような言葉をかけてしまっている可能性は十分にあります。
考えてみれば、これは子育てに限った話ではないのかもしれません。
人とのコミュニケーションにおいて、何が正しいかを知っていることと、それを実際に行動に移せることは、まったく別の話です。
そして、正解があまりにも当たり前だからこそ、私たちは自分ができていると思い込んでしまうのかもしれません。
子どもをもっとよく見ていきたい
この本を読んで、子どもの脳のタイプを知ることそのものよりも、子ども一人ひとりの特性をよく観察し、その子に合った接し方を考えることが大切なのだと感じました。
脳のタイプは固定されたものではなく、成長とともに変化していく可能性があります。
だからこそ、一度診断して「この子はこういうタイプだ」と決めつけるのではなく、日々変わっていく子どもの姿を見続ける必要があるのでしょう。
そして、不得意なところを減点するのではなく、得意なところを加点していく。
その子が今、何に興味を持ち、何を楽しみ、何を頑張っているのか。
そこをちゃんと見て、ちゃんと言葉にしてあげたいと思います。
今回の本は、私にとって何か画期的な子育てのテクニックを教えてくれる本ではありませんでした。
むしろ、誰もが知っている当たり前のことを、改めて確認させてくれる本でした。
でも、そこにこそ価値があったのだと思います。
大切なのは、正解を知っていることではなく、当たり前の正解を、日々の子育ての中でちゃんと実践すること。
自分は本当にそれができているだろうか。
そんなことを、改めて考えさせられた一冊でした。
